うどんこのお雑煮

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舟を編む:感想

舟を編む 通常版 [DVD]

舟を編む 通常版 [DVD]

2013年の作品。
同年にアナ雪、パシフィック・リム
風立ちぬ、永遠のゼロ等。
アベンジャーズフィーバーの後、
アナ雪フィーバー前後の作品って
感じですかね。

日本アカデミー賞受賞作品ということで、
かねてより気になっていました。

石井裕也監督作品(初見です)。
原作は三浦しをん
主演は松田龍平(松田優作の息子さん)、
ヒロインは宮崎あおい

作品を超大雑把にまとめると、
根暗マジメ男が、どういう風にして
人生を生きるかを描いたドラマです。

個人的な点数としては70点でした。
いい作品です。
けど、人生に残るレベルの最高な作品ではないかな、という感じ。

以下感想です。ネタバレありなので注意。
ちなみに原作は読んでないです。

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なんていうか、松竹ッッッ!!!ていう感じでした。
ジャパニーズこんな感じっていうか。
表現されたい日本っていうか。
男は寡黙で仕事に打ち込み
妻は夫を支える、っていう感じ。
松田龍平って、何考えてるんだか
良くわからない男やらすと
いい味だしますよね。
宮崎あおいってほんと
古き良き日本の妻って感じしますよね。
あと教授役の加藤剛
砂の器以来だけど、老けたな。。。

この映画って題材で勝ちみたいなところがあって、
"辞書に掛ける情熱と労力"がよく
表現されてて良い。

教授が"辞書とは"みたいなことを言って、
松田龍平が共感するところとか、
俺は全然全く知らない世界だけど、
熱い漢達はこんなところにもいる!
って言う感じ。
とか、"恋"の用例お前書けよ、とか、
"ダサい"の用例俺が書いたんだぜ、みたいな
辞書ジョーが観れる稀有な映画ですね。

あと、映画中盤、言葉の漏れを
発見してしまったときの、マジやべえ感。
「あー、俺の仕事でも似たようなことあったけど、
辞書編集だとこういう形になるのね、、、」
っていう感じ。面白かった。

それにテクノロジーの移り変わりも
ちょっと表現されてて面白い。
あ、1995年のExcelだ、みたいな。
あれどうやって作ったんだろうw

あと"言葉の海"、っていう言葉が
やたら出てくるのは、
言海っていう日本初の辞書に対する
リスペクトだと思いますが、
その辺の深い話はこれが
めっちゃ面白かったので
絶対全部聞いたほうが良い。

あと二人に子供がいないっていうのも
見逃せないですね。今っぽくて。
ラストの切れ味もいい。



さて、この映画の重要な所としては、
いかにして寡黙な男の感情を
観客に伝えるかっていうところ
なんじゃないかなと思うんですが、
そこがちょっと弱いかな、というか
もっとよく出来たかもしれないなと
思いました。

この映画で感情が強く伝わるところは
2点あると思っていて、
一つは恋が成就するところ、
もう一つは教授が亡くなるところです。
んで恋の成就はめっちゃ良かったです。
「。。。私も好きです。」
「ええぇっ。」
って。ええぇっじゃねーよwwって。

んでもうひとつの、
教授が亡くなるところが
あんまり悲しくならなかったかなーと
思いました。泣いたけど。
そこんところなんですが、
やっぱ教授と馬締との
間柄の描き方が弱かったかも、
12年間の中に何があったかが
もっと見たかったかも、
そういう気持ちになりました。

なんにせよ、
社会での自分の活かし方が見えない男が
自分の道を見出して
成長していく映画として、
いい映画だと思いました。