うどんこのお雑煮

映画とか読書とかジャグリングとか歴史。

神の一手 鑑賞後感 復讐を誓う男のステ"碁"ロが今炸裂する...! 65点

2014年の作品。
同年にギャレス版ゴジラ
それでも夜は明ける
舟を編む風立ちぬ等。

監督はチョ・ボムグ、
主演チョン・ウソン

韓国映画
キム・ジウン監督が好きで、
Good,Bad,Weirdや
悪魔を見た等見ました。
毎回日本よりもリッチな映画を作ってて
いいなぁ(^q^) と思わされて悔しいです。

この映画はこんな感じです。

プロ棋士テソクは、
兄の頼みで一度だけ危険な
“賭け囲碁"に協力するが、
その世界の元締めサルスの一団に兄を殺され、
自身も殺人の罪を着せられて投獄されてしまう。
すべてを失ったテソクの心深くに宿るのはサルスへの復讐心。
独房の壁に碁盤を描き、
隣の独房囚人と壁越しに始めた囲碁対局で腕前を磨き、
肉体も鍛え上げていく。
やがて出所したテソクは、
盲目の天才棋士“ジーザス" 、片腕の細工師モクス、
イカサマ棋士コンスらとチームを組み、ついにサルスと対峙する。
一度は人生を諦めた男たちは、
それぞれが抱える野望を胸に、
負ければ自分が死ぬ運命の勝負に“神の一手"で挑んでいく――!!

で感想、の前に、
韓国で囲碁がどういう存在かっていうのを
ざっと調べたんで書いておきたいと思います。
Yahoo知恵袋にこんなんが。

囲碁はどうしてあんなに韓国勢が強いのですか?世界囲碁選手権では韓国が1997年... - Yahoo!知恵袋

というワケで囲碁
韓国が世界最強レベルみたいです。
プロ棋士も存在し、賭け囲碁詐欺で
捕まった人なんかもいる模様です。
超盛んなんですな。
なので路上で囲碁やってて人だかりができる、
とかいうのは
それほど荒唐無稽な設定でもなさそうですね。

んで感想なんですが、
囲碁と暴力っていう相反する
二つを上手いこと使うっていうアイデア良し、
アクションはキレがあって良し、
仲間を集めて作戦を練るっていう王道感良し、
で、いい映画でした。
少なくとも、今の日本の任侠映画が
このレベルに来ることはない
、と
思わされました。悔しい。。。!

囲碁パートは正直良くわからんかったけど、
まあいいんじゃないでしょうか\(^o^)/

テーマとして、
知と暴力の応酬っていうのがあると思うんですが、
どうしても嘘喰いと被ってしまいました。
日本でこんな感じで実写化できないかなぁ〜、
無理だろうなぁ〜って思いながら見てましたw

ちょっと荒唐無稽なテーマだけど、
それなりの脚本で、
良質なアクションが見たい人にオススメです。
ただ、結構血が出ますので注意!!





んでここからネタバレと苦言です。
注意です。。。




兄が殺され、訓練し強くなって、
冷凍庫で幹部クラスを抹殺する、
っていう所まではほぼ完璧でした。
特に冷凍庫の印象的な青。
キタノブルーのオマージュかも。。。
とか思って見てました。

でも、ちょっと終盤の流れ、
アレ脚本適当すぎでしょ。。。

結局こういう圧倒的な暴力を背景に持つ
ヤクザに対して復讐する、っていう映画では、
最終的にどうやって復讐完了するか
が一つの見せ場だと思います。
大体は、
1.暴力を使わせないようにハメる
2.相手を超える暴力を持つ
のどちらかになるかと思います。

名作Stingなんかは1に分類され、
嘘喰いは2ですかね。
でこの映画は、多分2を狙ったんだと思うんですが、、、

うーん、微妙。。。(´・ω・`)

何年かガチ訓練したヒョロガリと
複数人のヤクザが乱闘して勝つ、、、
ってヤクザこんなに弱くないでしょ。。。
義手のおっちゃんもギリギリみたいだったし。。。
お前ちょっと無策すぎでしょ。。。
ちょっと説得力が無い、、かなぁ。。。

ここで引っかかってしまうと、
僕がこういう映画に期待する、
"勝った"感が著しく損なわれてしまうんですよねぇ。
そこだけが(だけと言いつつかなり大きいんですが、)
残念でした。。。

The Raid、観賞

2011年の作品。
同年に英国王のスピーチ
キャプテン・アメリカ
猿の惑星ジェネシス
邦画では告白、アリエッティ等。

インドネシア映画です。
多分他には見たことないですね。
監督はギャレス・エヴァンス
(ギャレス・エドワーズかと思ったw)
主演はイコ・ウワウス。
スターウォーズにも出たんだ。へー。

僕の点数:65点

カンフー、ムエタイと来ている
NoCGガチアクションの系譜に入るんじゃないかと思います。
その系譜として、いい映画でした。
ただ僕はガチアクション系にそれほど思い入れが
ないためこの点数です。好きなら、見るべき。
個人的にはマッハ!は超えず、といった感じ。

トーリーは普通です。
ギャングの巣窟に乗り込んで、ブっ殺す!

アクションは、
インドネシアに伝わる殺人格闘術、
シラットが良いです。
まあ、シラット、よく知らないんですが
(;´Д`)

こんなんみたいです。

肘とナイフの使い方がキモなのかな。。。?
流れるような動きが見どころですね。

殺陣の舞台ですが盛りだくさんです。
部屋で、廊下で、
ナイフで、トンファーで、ステゴロで、
じゃんじゃか殴って切って撃ちます。
ちょっとメタルギア3を思い出しながら見てましたw

んでちょっとしたストーリー的な良さもあって、
ラストシーンは僕は結構好きです。
置かれた場所で咲きなさいみたいな。
読んでないけど。

置かれた場所で咲きなさい

置かれた場所で咲きなさい

ただ、話が進むに連れて
装備がどんどんなくなっていって
体力もガンガン減っていくので、
相対的に主人公が弱くなっていってしまって、
それに合わせて敵の装備が何故か貧弱になっていくのが
ちょっと無理あったかなと思いました。

あと主人公が強いことに
ちょっとした裏付けがあったら良かったかも。

でもそんなんどうでも良くなるくらい
アクションに力がみなぎっているので、
アクション好きな方はいいんじゃないでしょうか。

舟を編む:感想

舟を編む 通常版 [DVD]

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2013年の作品。
同年にアナ雪、パシフィック・リム
風立ちぬ、永遠のゼロ等。
アベンジャーズフィーバーの後、
アナ雪フィーバー前後の作品って
感じですかね。

日本アカデミー賞受賞作品ということで、
かねてより気になっていました。

石井裕也監督作品(初見です)。
原作は三浦しをん
主演は松田龍平(松田優作の息子さん)、
ヒロインは宮崎あおい

作品を超大雑把にまとめると、
根暗マジメ男が、どういう風にして
人生を生きるかを描いたドラマです。

個人的な点数としては70点でした。
いい作品です。
けど、人生に残るレベルの最高な作品ではないかな、という感じ。

以下感想です。ネタバレありなので注意。
ちなみに原作は読んでないです。

                                                              • -

なんていうか、松竹ッッッ!!!ていう感じでした。
ジャパニーズこんな感じっていうか。
表現されたい日本っていうか。
男は寡黙で仕事に打ち込み
妻は夫を支える、っていう感じ。
松田龍平って、何考えてるんだか
良くわからない男やらすと
いい味だしますよね。
宮崎あおいってほんと
古き良き日本の妻って感じしますよね。
あと教授役の加藤剛
砂の器以来だけど、老けたな。。。

この映画って題材で勝ちみたいなところがあって、
"辞書に掛ける情熱と労力"がよく
表現されてて良い。

教授が"辞書とは"みたいなことを言って、
松田龍平が共感するところとか、
俺は全然全く知らない世界だけど、
熱い漢達はこんなところにもいる!
って言う感じ。
とか、"恋"の用例お前書けよ、とか、
"ダサい"の用例俺が書いたんだぜ、みたいな
辞書ジョーが観れる稀有な映画ですね。

あと、映画中盤、言葉の漏れを
発見してしまったときの、マジやべえ感。
「あー、俺の仕事でも似たようなことあったけど、
辞書編集だとこういう形になるのね、、、」
っていう感じ。面白かった。

それにテクノロジーの移り変わりも
ちょっと表現されてて面白い。
あ、1995年のExcelだ、みたいな。
あれどうやって作ったんだろうw

あと"言葉の海"、っていう言葉が
やたら出てくるのは、
言海っていう日本初の辞書に対する
リスペクトだと思いますが、
その辺の深い話はこれが
めっちゃ面白かったので
絶対全部聞いたほうが良い。

あと二人に子供がいないっていうのも
見逃せないですね。今っぽくて。
ラストの切れ味もいい。



さて、この映画の重要な所としては、
いかにして寡黙な男の感情を
観客に伝えるかっていうところ
なんじゃないかなと思うんですが、
そこがちょっと弱いかな、というか
もっとよく出来たかもしれないなと
思いました。

この映画で感情が強く伝わるところは
2点あると思っていて、
一つは恋が成就するところ、
もう一つは教授が亡くなるところです。
んで恋の成就はめっちゃ良かったです。
「。。。私も好きです。」
「ええぇっ。」
って。ええぇっじゃねーよwwって。

んでもうひとつの、
教授が亡くなるところが
あんまり悲しくならなかったかなーと
思いました。泣いたけど。
そこんところなんですが、
やっぱ教授と馬締との
間柄の描き方が弱かったかも、
12年間の中に何があったかが
もっと見たかったかも、
そういう気持ちになりました。

なんにせよ、
社会での自分の活かし方が見えない男が
自分の道を見出して
成長していく映画として、
いい映画だと思いました。

ミッション:8ミニッツ感想

2011年の作品。
同年に最強の二人、
キャプテン・アメリカ
Drive。邦画では
ヒミズ、八日目の蝉。

監督はダンカン・ジョーンズ
月に囚われた男が有名らしい。
この監督の映画は初見ですね。
主演はジェイク・ギレンホール
ブロークバック・マウンテンですね!

僕の点数:70点!

感想ですが、
いい映画だったと思います。
特に終盤、号泣してしまいました。。

まず100分弱の尺ってことですね。
時間的に、さくっと見れますし
大変スピーディな展開です。
鑑賞中に退屈を感じるヒマは
ほぼないでしょう。

そして設定。
列車と時間リピートのミックス。
リピートってのはアレです。
恋はデジャ・ブみたいなやつですね。
同じ時間を何度も繰り返すというやつ。

リピートものということで、
だんだん主人公が
色々上手くなっていきます。
その過程と、
そして習熟した先に何があるのか。。?
カップルで見るもよし、家族で見るもよし。
短時間でみんなで感動できる。
そんな映画です。





以下ネタバレです。----------------
観賞後に読むのを推奨します。------









内容なんですが、
脚本がすごく良かったと思います。
つまり、
テロを未然に阻止するという
メインのストーリーラインと、
主人公の境遇が解き明かされていくという
サブのストーリーライン。
この二つを同時進行で見せておいて、
終盤、サブとメインを入れ替えてみせる。
そこに説得力を持たせる。
ここが上手い。

ラスト、やってることは、
既に死んでいるものを救うっていうもはや滑稽の域なのだが、
そこに厳然と存在する説得力。
終盤までにメインストーリーの影で
積み上げてきた人間としての
物語が爆発してます。
すごく悲壮で、幸せで、泣ける。。。

あと演出も良い。
主人公が世界に向けて発している言葉が
実はディスプレイ上に文字列としてしか
表示されない
ということが分かるシーン。
あれを終盤に持ってくるとは。。。!
薄々感づいていたけどね。。。!
やっぱ画として見せられるとね!
衝撃がね!

ただすげえ残念だったのは、
量子力学かなんか知らんが
一人の人間の記憶のみから
事故直前の8分間を再現して
爆弾探すって、技術的に不可能だろ。。。
知らないんだから。。。
そこは懸命にフィルタを
張り続けなければなりませんでしたw
あと終盤、ちょっと、冗長かな。。。
そこはもはや重要じゃなくなってたから
良いんだけど。。

超高速参勤交代鑑賞後感[ネタバレ注意]

超高速! 参勤交代 [DVD]

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2014年の映画。
監督は本木克英。初見です。
主演は佐々木蔵之介。かっこええです。
これ、日本アカデミー賞脚本賞を取ったんですねえ。
今年続編が公開されますね。

感想ですが。。。
普通に楽しめる時代劇でした。
一風変わった設定(参勤交代)と
かっちょいいアクションを
コメディタッチで爽快に見せてくれました。
特にコメディ部分においては西村雅彦が面白いです。
こういう役をやらせたら彼はスゲェはまりますね。
他の役者陣も豪華&良い。
彼女とか、家族と一緒に
キャッキャ見る映画として良いですね。

なんですが、、、
なんちゅうか、ぼく、年を取ったんですかね!
ちょっと脚本的な粗が目立ってしまい、
それがノイズになってしまいました。

殿(佐々木蔵之介)の
立ち位置がちょっと微妙すぎなんですよね。

良い殿として出てくるんですが、
途中で部下と離れてしまいます。
それも結っっ構長い間。
この映画の推進力の一つに
部下を邪険に扱われた上司の怒りというのが
あると思うんですが、
これでは上司と部下の絆が
十分描けなくって
微妙になってしまうと思うぞ。うん。。

あと忍者さんとの間柄もちょっと。。。微妙。。
泥だらけの小判ってあれなに?
多分蔵の底の泥がついた小判(?)という意味
(ギリギリのお金を与えているという意味)
かなんじゃないかと思うんですが、
伏線の張られ方が微妙すぎて、う〜ん。

さらに途中で女に優しい一面が描かれるんですが、
ちょっとお前気まぐれすぎでしょ。。。
お金もないのに。。。何故そいつを選んだ。。。
しかも最後までこの女が役に立たないので、
深田恭子を制作側が無理やり使いたかったようにしか見えない。
う〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

あと、ラストもかなり
無理矢理感あると思うんですよね。
慌て者の金。いやそれは分かるが。。。
なんの前触れもなくいきなり言われても
はぁそうですかとしか思わない。
この作品全体の種明かしなのにも関わらず
あそこ以外で金の描写が無く、
しかもものすごくあっさりやられるので
全然スカッとしない!o(>皿<)o

最後に、
ちょっといちゃもんみたいなものなんですが、
こういう映画最近多い気がするんですが、
いくらなんでも徳川家に対しての
態度が無礼過ぎるんですよね。
武家みたいなガチガチの階級社会の中でも
その枠の中で相手にやり返すこともできるんだぜっ
て所に
時代劇的カタルシスを求めるぼくにとって、
そこが甘いと世界観ぶち壊しなんですよね。
マジかんべんして欲しいところです。

全体的な殺陣の完成度とか、
あの頼りなさ気に見えた部下達が刀を抜く前の口上(2回目)とか、
コメディ部分のできの良さとか、
そういう所がかなり良いだけに、
ちょっともったいないナァと思ってしまいました。

美術評論家、ケネス・クラークを読んだ。

ジャグラーをやるにあたって
美しさとはなにかについて考えることが良くある。
過去にも"つくる"と"なる"というフレームで
美しさについて書いたことがある。
ジャグリングにおける美しさとスゴさについて - うどんこの雑煮

では、ジャグリングではなく一般における、
美しさとは何かを上手く説明したものって何かないかと思い、
絵画における美しさの表現を知りたく、この本を読んでみた。

名画とは何か (ちくま学芸文庫)

名画とは何か (ちくま学芸文庫)

著者であるケネス・クラーク氏については、
鬼Lisperであるポール・グレアム氏が
ヒーローとして挙げていることで知った。

私のヒーローたち
以下引用。

ケネス・クラークは分野を限らず、
私の知る最高のノンフィクション作家だ。
(中略)
しかしクラークは違う。
そして彼は単に知的というだけでなく、
素敵なディナーに期待するような仕方で知的なのだ。

本書を読んだ感じ、正にそのとおりだと思える。
クラーク氏が絵を見て、
その感動がいかに大きかったかを論じる
氏の調べは、
確かに知的でステキなディナーに
招待されるような感じだ。

例えばティツィアーノ
パウルス三世の肖像に感動したときの様子を、
彼はこう書いている。

私がそうしたように、横を向いたり向きを変えたりしながら、
一時間もその絵を眺めていると、向きを変えるたびに
何か新しいことを発見できるのである。
賢明な老指導者、
老獪な人物、
同胞を知り尽くしている人間、
神をはっきりと理解している人。
ティツィアーノはこのすべてを、
さらにそれ以上のことをみてとったのである。

なんと豊潤な語彙だろう。
一つの肖像画、っていうか、
人間に対する印象をこれだけ豊かに語れるとは
素晴らしい表現力であるように思える、が、
ただ、大変残念なことには、
氏の名画評はかなりの部分主観で書かれており、
ぼくはげえじゅつについては完全な門外漢で、
一時間同じ絵を見ることのできる感受性どころか
せいぜいboketeを5秒みる程度の浅ましさしかもっていないので、

名画を見ても、
その素晴らしさは微塵も感じられないのであった。。。




悲しいorz




ただこの本は、
批評というものは、
その題材がなぜ良いものなのかを
素人にも分かるように
説明されるべきである、という
僕の思い込みを完全に打ち砕いた。

そんな高尚なことはされなくてもよい。
だって、名画は名画で、
私はこう楽しんだのだから、
それでいいじゃないか。
そういう、語弊を恐れずに言えば、
マチュアリズムがあるからこそできる批評がある。

そう感じられた一冊だった。
美術が好きだった人には本当にオススメである。